この記事は存在しない技術 Advent Calendar 2021 - Adventarの14日目の記事です。
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マナ回路前史
近代以前は、魔術を発動できるのは人間、それも多くのマナ*1を備えている人間に限定されていた。 これは、まず魔術を発動するには、一定以上のマナの密度が必要であるが、マナを蓄えられるのは人間に限られていたためである。
しかし、近代になり、マナを遮断する材料(断魔体)が発見されると、それを用いて任意の場所にマナを集めることが可能になった。 さらに、マナを集めた空間を圧縮することにより、マナの密度を魔術を発動するのに十分なだけ高められるようになると、魔術を発動できる機械である魔術機が登場した。
最初期の魔術期は発光、浮遊・移動、加熱・冷却といった単純なものに限られており、またその魔力も弱いものであった。 大きな魔力を扱うにはとても巨大な魔術機および、それに足るだけのマナが必要となるため、動力としての利用は蒸気機関の隆盛により小規模なものに限られるようになった。
一方で、微弱な魔力でよければ、小さな機構と少量のマナで魔術を発動することができ、小さな機構であれば微弱な魔力でも制御が可能である。 そこで、微弱な魔力で制御できる魔術機を複数並べ、これを連鎖的に、繰り返し発動できる魔術機が作られた。 マナを供給する限り半永久的に動き続けることから、マナ回路と呼ばれている。
マナ回路基本素子
マナ回路は、魔術を発動するのに必要なマナを圧縮する"圧縮機構"と、発動する魔術を決定する"発動機構"から構成される。 圧縮機構は、筒状の空間に集めたマナを板状の断魔体で押すことで圧縮する機構がよく用いられる。
念力はマナ回路で最もよく使われる魔術で、これによりほかの圧縮機構を制御する。
念力により単純に魔術を発動するだけでなく、圧縮機構を無効化したりすることでより複雑な制御を行える。
マナ回路例: リングオシレータ
圧縮機構を連鎖させることによって、状態を一定間隔で変化させ続けるマナ回路。 圧縮機構を制御する断魔体の位置を往復させることで、ぐるぐると魔術の発動を連鎖させることができる。
ポイントは左上橙波線で示した部分で、ここだけ他と断魔体の動かす向きを変えることで、状態がループして継続的に魔術を発動し続けることが可能となる。
現代の魔術アーキテクチャ
魔術機は、その大きさを小さくすることで必要な魔力、消費されるマナを低減することができるため、世界中の魔術師が魔術機の小型化、集積化に取り組んだ。 その結果、現代では米粒ほどの大きさに、億単位の魔術機が集積できるようになった。 それに伴い高度で複雑な魔術を大量のマナ回路素子を組み合わせて実現することが可能になった。 さらに、マナ制御技術の向上等により、強力な魔術を発動する魔術機(フォース魔術機)が実用化されるなど、ますます魔術の応用範囲は拡大している。
*1:魔力を司る粒子。目で直接見ることはできないが、空間中を飛び回っている。