この記事はKMC Advent Calendar 2015 - Adventar12日目の記事です。
宣伝
サークル「京大マイコンクラブ」は、コミックマーケット89で「木曜日 東地区 "モ" 42b」に配置されました! コミケWebカタログにてサークル情報公開中です https://t.co/BtKSerlV6R #C89WebCatalog
— 京大マイコンクラブ (@KMC_JP) 2015年10月30日
部誌、自作ゲーム、そして今回の本題であるコンパイラのソースコードを置く予定です。 3日目(12月31日)東地区 "モ" 42bです!よろしくお願いします!!*1
本題
今度のコミックマーケットは89回目です。コミックマーケット89は通称C89と呼ばれています。 C89といえばC言語の最初の標準規格ANSI-C:1989(通称C89, ANSI C89など)ですね!
こうなったらやることは1つです。C89でC89コンパイラを頒布するのです!
出落ち的アイデアですが、もう二度とC89はやってこないので、このチャンスを逃すわけには行かないと部内でC89コンパイラを作るプロジェクトを立てました。
話し合いの結果コンパイラの名称はkmc89になりました。リポジトリはこちらになります。
規格書の入手
現行のC言語の標準規格ISO/IEC 9899:2011(通称C11)の規格書はISOのウェブサイトからPDFを購入できます。 一つ前のC言語の標準規格ISO/IEC 9899:1999(通称C99)は和訳(JIS X3010:2003)をJISCのウェブサイトから閲覧することが出来ます。
しかし、C89の規格書は上記の方法では購入・閲覧等ができません。 そこで、規格書のハードコピーをhttp://infostore.saiglobal.com/store/Details.aspx?productID=434093から注文して入手しました。
これは厳密にはANSI-C:1989ではなくISO/IEC 9899:1990(通称C90)の規格書ですが内容としては同じものです。*2
コンパイラを作る
コンパイラを作ると言っても、あまり時間はありません。 C89のすべてを実装するのは流石に無理があるということで、標準ライブラリ、リンカ、プリプロセッサ等は実装せず(既存のリンカ等を用いる)、狭義のコンパイラに絞って実装することにし、オブジェクトコードとしてLLVM IRを生成することにしました。
実際には規格書を注文してから届くまでにかなり時間がかかった(再送もあったので2ヶ月弱)ので届く前から少しずつ書き始めています。
最終的にセルフホスティングを目指したいのでコンパイラもC89で記述することになり、それにあたってC言語で貧弱な部分をライブラリとして実装する作業が行われています。 C++のstd::vectorやstd::stringに当たるものをC言語で実装しようとしています。KMCアドベントカレンダー9日目の記事template in C - KMC活動ブログも参照してください。
ある程度そろえばあとはflex、bison、LLVM等の便利なライブラリを使うことで12/31のコミックマーケット3日目に間に合うように実装できるはず!!ということで現在鋭意実装中です!応援よろしくお願いします!
このあたりのコンパイラの仕組みの話は今度のKMCの部誌、独習KMC vol.8に少し書いてあるので気になる人はぜひ読んでください。
今後の展望
今回はコンパイラのコア部分に絞って実装することでなんとか間に合わせる作戦ですが、C89の次のコミケはC90ですね。この時までにC89≒C90のコンパイラの周りの部分の実装を進めて完全版を配布したいと考えています。*3
また、C90の部誌ではコンパイラの実装や開発環境等についての苦労話や新たに得た知見なども書きたいと思っています。ご期待ください。
では早速この記事を書き上げたらコンパイラの実装を進めることにしたいと思います。応援よろしくお願いします!
コミケは3日目(12月31日)東地区 "モ" 42bです!よろしくお願いします!!
絶対C89にC89コンパイラを間に合わせます!間に合わなかったら木の下に埋めてもらって構わないよ!
次回予告
明日のKMC Advent Calendar 2015 - Adventar 13日目の記事はnonamea774(nona7)さんによる「[データ削除済]」です。お楽しみに。